[Strom Tracking]
このページは米国Boltek社のStorm Trackerを用いた雷観測のページです。
2003年雷によって引き起こされるスプライト(Sprite)、エルブス(Elves)などの高光度発光現象が動体監視ソフトUFOCaptureによってアマチュアでも容易に撮影可能なことが分かりました。スプライト観測には雷発生位置をできるだけ早く知ることが必要です。そこで雷検知方法を調査した所、米国で安価な機材が販売されていることが分かり、早速導入してみることにしました。以下、この装置の導入から稼動までの記録です。
[Boltek Storm Tracker 概要]
- Boltek社の雷検知器にはPCI版のStormTrackerと外付け版LD-250があります。
- いずれもアンテナと受信部からの信号をパソコンで解析して1地点からの観測で発生した雷の方位と距離をリアルタイム判定できます。
- アンテナは石鹸箱ほどの大きさで木造家屋なら屋根裏などに設置可能で、8芯の細いケーブル1本で接続します。
- 検出範囲は純正ソフトで480km、サードパーティソフトでは600km程の射程とのことです。
- PCI版をサードパーティソフトで使用すると方位/距離以外に雷の極性や種類(落雷か雲放電か)などまで判定でき、統計もとってくれます。
- 外付け版LD-250は独立筐体でノートパソコン等で使用可能です。接続はシリアル接続が基本ですが、最新のものを直輸入するとUSB接続も可能です。 またパソコンが無くても単体で雷検出アラームを鳴らす機能があるとの話しもあります。
- 2004年4月現在、LD-250の国内価格は138000円、メーカ直販だと$799+輸送費+消費税、米国ネット販売の最安値は$596.95でした。
- PCI版は米国ネット販売でなんと$374.95でした。
[導入までの経緯] 4/22記
- 2003-2004シーズンに冬季スプライト観測をして以来、過去日本で記録のない夏のスプライトを捉えたいと毎日観測していました。しかし、春以降の雷は気まぐれでどこに発生するか予測困難です。広角レンズを用いても60度程の視野しかなく、ネット上の雲の様子や落雷情報を参照しつつカメラの方向を変えるのですが、見逃すこともしばしばでした。雷の発生そのものにも気がつかないことも多く、雷検知器が欲しいと思うようになりました。
- ネット上で情報収集していたところ、国内で13万円程で販売されているとの情報がありました。10数万円で、1地点からの観測で方位と距離が判るとのことで、最初は半信半疑でした。しかし、調べる間に1地点からの観測で距離が判る原理を書いた文献を見つけ、これはスゴイかもしれないと思うようになりました。しかし、Boltek社のシステムがこの原理を使用しているかは定かでありません。また、国内にはこの装置に関する情報が少なく、まだ購入には踏み切れないでいました。
- ところが、調べるうちに、この装置のメーカが判り、複数のサードパーティソフトが作られている程のメジャーな雷検出システムだと分かりました。ネットの格安販売を見つけたら、もう、こらえ切れません。さっそくオーダーフォームに書き込んでしまいました。
- 導入するのは、Boltek社StormTrackerPCI版と処理ソフトAstroGenic社NexSTormです。PCI版を選択したのは、雷の極性や種類を是非知りたかったからです。ケーブルはアンテナが屋内設置なので、標準添付品(50feet)で足りるだろうと思いました。ただ、配送がUPSなのでコストが$120程かかり、しめて$735.84でした。あと消費税など若干かかります。
- NexSTormも相当高機能なようなので、うまくいけば、今年の夏には雷情報リアルタイムサイトが開設できるかもしれないなどどワクワクしております。 600kmといえば、我が家に設置すれば四国の一部から青森まで検出範囲に入ります。なにより情報のない太平洋上の落雷の様子が分かるのが魅力的です。
- 現在、商品は搬送中です。UPSによればアリゾナのテンペを出て、フェニックスを経由してオンタリオについた所のようです。到着まであと数日でしょうか、さて、どうなりますことやら........
[アンテナ設置計画] 4/22追記
- アンテナは地図の上(通常は北)に向ける必要があります。NexSTormであれば、あとからソフト上で補正できるようですが、やはり正確に合わせておきたいものです。
- 屋外ならば北極星で合わせれば誤差は0.1度程です。
- 屋内設置の場合には家屋の壁の向きを知っておく必要があります。
- 望遠鏡などで、北極星をみつけて、望遠鏡の方向と壁の方向の誤差を調べておくのが確実です。
- 方位磁石を使って調べる場合には地磁気の偏差に気をつける必要があります。偏差は意外に大きくて、2004年の東京だと方位磁石は約7度西を指すそうです。
- 我が家の壁を調べてみたら、方位磁石では西に12度傾いていました。つまり家は5度西に傾いて建っていることになります。
- 壁の傾きが分かったら、次はそれを補正する台が必要です。我が家の場合には5度の補正です。
- 映像からはスプライトの方位は同時に映る恒星位置からの計算での0.1度程度の誤差で判定できます。このセンサーもできればその位の誤差で設置しておきたいものです。しかし、そこまでやるのは大変です。ちなみに1度狂うと300km先で5kmのずれになります。ま、センサーの精度もまだ分からないし、雷そのものも結構横走りするので、そもそも雷の位置とは何か? という問題も出てきます。ま、±1度程度で設置できれば満足すべき所なのでしょう。
- アンテナの幅は2インチつまり50.8mmです。50.8mmで5度というと4.4mm片辺を浮かせれば良いことになります。アンテナの周囲なので金属は避けるべきなので、木やプラスチックなどでこの厚みのスペーサを作りケースの裏面に貼り付ける方法が思いつきます。この方法だと厚みが0.1mm狂うと0.1度程狂います。誤差を減らすには幅のある板に取り付けてから板を傾けると良いですが、目標を±0.5度とすれば、そこまでやる必要はなさそうです。
- 設置場所に対しては以下のコメントがありました。
- 受信する電磁波はAMというかパルス性信号なので、はさほど高さは要らない。
- 大きな金属の近くは避ける。
- 木造家屋なら屋根裏で十分。
- アンテナそのものは防水だが、コネクタ部分は露出している。屋外に設置する場合には塩ビのパイプなどのハウジングに入れて、コネクタ部分に雨に濡れないようにすること。また結露に備えてハウジングの底には水抜き穴をあけるように。
- 実際の設置ですが、我が家の北東には3階建ての鉄筋の建物があります。周囲の非対称性はできるだけ避けたいので、なるべく高く、マンションからは遠い位置に設置すべきでしょう。とりあえず、屋根裏の西壁に設置しようかと思います。
[地図の準備] 4/22追記
- StormTracker付属ソフトまたはNexSTormの使用に当たっては、観測地を中心とする正距方位図法の地図が欲しい所です。アメリカ国内のものについては関連商品として売っているのですが、日本のものはありません。そこで、シェアウエアなどを探した所、Fland-Aleというシェアウエアが目に留まりました。これは任意の位置を中心とした正距方位図法の作図が可能です。さっそく試用期間で試した所、十分な地図が得られそうでした。
- とりあえず、書いてみました。このソフトはレイヤー毎に色を設定できて、必要なら地名も入ります。同心円もかけるので例えばこんな図が作れます。
- 図中の同心円は200km,400km,600kmです。600Kmの射程の凄さがわります。黄色の点が今から楽しみになります。
[パソコンの準備] 4/22追記
- PCI版StormTrackerにしたので、PCIスロットのあるデスクトップパソコンが必要です。
- 能力的にはWindows95の時代のものでも大丈夫だろうとのことで旧機種が使えます。
- なるべく24時間運転したいので、消費電力の少ない静かな機械が望まれます。もちろんHT対応の最新鋭マシンならUFOCaptureとの並行処理もできるかもしれませんが、これは24時間運転するのはちょっと気が引けます。これから夏ですし。幸い、静音化した小型デスクトップ(Pentium3-733MHz)が余っていたのでこれを使うことにしました。これに入れれば24時間監視、そして、もしかしたら、日本初のリアルタイムStormTrakingサイトが構築できるかもしれません。
- OSはwindows系ならばなんでも良いようですが、Xpにしました。さぁ...準備万端、機材の到着を待つだけです。
[到着までの不安] 4/22追記
- 有名なシステムらしいとはいえ、不安はあります。
- 東京のような電磁波過密地域でもちゃんと動作するだろうか。
- 英語版ソフトは日本語環境でも動くだろうか。
- 周囲の建物の影響で大きな誤差がでないだろうか。
- 雷の頻度が少なかったら調整や確認が出来ない日々が続くのだろうか.....。
- でも期待の方が大きいです。だって、雷の極性が分かるんですから。雲放電と落雷の比率も手にとるように分かる筈です。そしてUFOCaptureとのコンビネーションでこれらとスプライトとの関係も寝ている間に分かってしまう...... 夢のようです。でもこんなこと興奮して書けるのはこのページだけです。雷の極性なんて、普通の人にとっては超トリビア、「ヘー」でなくて「ふ〜ん?」と言われて人格を疑われてしまいます。
[到着♪♪] 4/24pm記
- 速い!! さすが通販の国 。 UPS はexpeditedだったかな? 安い方だったのに、ホントに速いです。消費税は正味の中身にしか掛からず、おもわずニンマリ。
- これが荷姿とインボイス
- こちらが中身
- 写真、下中央が別売ソフトのNexStorm。バージョンは1.03でした。
- ケーブルはどこかで見たようなと思ったら、Cat-5eの文字!!、コレってLANケーブル???(要調査ですね)。
- うーん、早く設置したい......しかし、今日はキャプチャカードの交換が.......
[説明書を読む] 4/24
- 説明書は古いISAスロット用だった。まぁ、I/Oアドレス設定(なつかしー)など読み飛ばせば良いだけ。
- ふむふむ、アンテナは正面を北に向けろ。
- はいはい、屋根より高い所に設置すると本物の雷を呼び込むとある。確かに、いくら雷好きだからといって、本物に挨拶されたらたまらない。
- なぬ!!!、アンテナ機器なので、コンピュータの接地が必要!!! これは困った。日本の家にはアースは殆どない。ウチでは2階に計算機を置くので、2階まで良質のアースを引かねばならない。そ〜か〜、無線機なんだこれは。
- いつになったら、稼動するやら........
[接地工事] 4/25
- 検出性能に係わりそうなので、頑張って、ちゃんと接地することにしました。
- 以下はアース棒とケーブル。これを湿った土に打ち込んで、ケーブルを2Fに引きました。手はスリキズだらけになりました。
- 引き込みの水道管が金属なら、それはもの凄く優良なアースなのですが、最近は塩ビのものが多く、ウチも塩ビ。ちなみにガス管は危険なので禁止。
- このケーブルの先は検出用コンピュータを繋いでいる3Pテーブルタップにあるアース端子に接続しました。ここ一箇所から全部の計算機のノイズを大地に逃がし、電位の原点にします。アースは1点アースが基本。複数箇所でアースするとループになって逆にノイズを拾います。
- 無線機の場合などは接地抵抗を測ったりするのでしょうが、ま、受信だけなので......。
- ちょっと頑張り過ぎがもしれません。安定運用に入ったら、一度接続を外して効果を実測したいと思っています。
[ボードの装着] 4/25
- いよいよ組み込みです。
- と、ここで問題発生。PCIカードの奥行きが意外に大きく、予定していたスリムデスクトップだとHDDにぶつかって入らないのです。
- ****金具を含めて奥行き176mmありました****。
- 以下Boltek StormStracker PCI のボードクローズアップです。PCIコネクタからかなり後ろまで基盤があります。
- 普通のデスクトップなら問題ないのでしょうが、小型ケースで24時間運転したかったので、困りました。
- で、致し方なく、スリムデスクトップのCDを外し、CDの所にHDDを移動して、ボードのスペースを確保しました。
- ソフトのインストールはネットワーク経由でCDの内容を別の機械からコピーして実行することにすれば、CDもがなくてもOKです。
- この機械、ついでにFDDも外して、できるだけ省電力のマシンにしました。
- アンテナはとりあえず、室内の近くのカベに仮留めして接続、さあさあ、いよいよ......。
[StormTrackerインストール] 4/25
- NextStormを使うなら、Boltekのソフトはインストール不要かもしれませんが、一応、常識的に純正ソフトからインストールしました。
- ソフトのインストールは普通、開発の歴史を想像して、その順番で入れていくのが一番問題が少ないのです。
- インストールはCDのSetup.exeを起動する。特に問題なく終了しました。
- 起動してみると即動きだします。しかし、.......雷もノイズもないと動いているのかどうかよく分からりません。
- 地図はアメリカの某都市のものでスタート。
[NexStormインストール] 4/25
- インストールはCDのSetup.exeを起動します。普通はCD挿入で自動起動するはずです。特に問題なく進み、すぐ終わりました。
- マニュアルはインストール後にpdfとして読めるようになる。それまでは紙ペラ1枚もありません。
- ドライバはボルテックのドライバでも良いようですが、起動してみると、サウンド機能付きの添付ドライバのインストールが要求される。
- WindowsのStartメニューのAstrogenic SystemsのDirverにあるプログラムを起動するとNextStorm添付ドライバをインストールしてくれます。
- このドライバをインストールした後でもBoltekのソフトも問題なく動きました。
- 最初ISAモードになっているので、起動後、Option-Configuration-Hardで PCI Card と Enable on startupをチェックして再起動。
- と、おお、とりあえず動きましたぁ!!!。ピ、プと雷やらノイズを検出し始める。NextStormはハードが動いていることが画面に表示されるので安心。
- マシンの起動直後にNextStormを起動したら、アンチウィルスなどの初期化と競合したようで、エラーダイアログが出続ける現象に遭遇。マシンを再起動して落ち着いてから起動したら問題なかった。気をつけねば。
- 地図は無しでスタートする。
- 隣のマシンの電源を入れたら、-CG多発と検出された(^^;)。スケルチとかノイズ感度の設定があるので、アンテナをちゃんとしたら、ゆっくり調整します。
- スケルチという言葉は..なんか懐かしい。
- ちなみにNexStormのCPU負荷はPentium3-733MHzでも10%以下、全然問題にならないくらい軽く動くようです。
- 以下、稼動記念ショットです。左の一群は左の計算機の電源を入れた時のノイズで、右の一群は右側にある計算機の電源ON時のものです。もんろんすぐそばにあるものなのですが......
- しかし、中央上部の一群は当時東北地方で発生していた本物の雷によるもの!!......だと思うのですが......はやくアンテナをちゃんとせねば......

[アンテナ設置] 4/26
- 前に書きましたが、アンテナは我が家の場合、柱や壁の北面に5度傾け取り付ける必要があります。
- とりあえず、4mm程の足をアンテナの片側につけ、その状態で台板にテープで固定しました。こんな感じです。
- 台板の下には両面テープを付け、これで柱に固定します。金属はダメという制約は以外に不自由なものです。
- 屋根裏の柱に設置した様子です。
- これで設置完了。ここならノイズも比較的少ない筈です(^^)。
[本番地図] 4/26
- NexStrom用の本番地図を作ります。
- ネットで公開することも考えて、NexStormは800*600のモードを動かすこととしました。自動拡縮機能や拡縮によるマップ作成ツールまで付属しているのですが、海上の部分が多いことを考え、緯度経度線を入れておくことにしました。すると拡縮モードより固定モードの方が綺麗なので、固定モード用の画像を作ります。800*600モードで600kmレンジの場合、必要なビットマップの大きさは540*540です。中心に観測地を置いて、半径620km位の図を作る必要があります。
- 地図ソフトFland-aleの出番です。これが良くできていて作業は簡単でした。ウィンドの大きさを変えると図の画素数が変えられます。数値で表示されるのでこれを540*540に合わせます。あとは、縮尺を7,638,000分の1に設定したら、ほぼ所望の大きさになりました。もちろん、正距方位図法にするのをお忘れなく。
- 以下、作成したbmpを非圧縮状態で掲載しておきます。中心位置がさぼとずれていない方はどうぞ、ご利用下さい。
- M784-540.bmp(854KB)
[First Lightning] 4/26
- 望遠鏡ならファーストライトですが、電磁波で雷を観測し始める時は何というのでしょう。ま、どうでもいいことですが。
- やはり、記念に最初のスクリーンショットを掲載しておきます。
- Boltekのマニュアルには、設置が完了したら、あとは雷を待てと書いてあります。続きをご期待下さい。
[リアルタイムサイトの構築] 4/27
- NexStormを使うと準リアルタイムに雷情報を公開するページを簡単に作れます。
- 500*500の地図を作る
- 製品添付のhtmlからアプレット呼び出し部分を自分のページにコピーして、地図名を変更する。
- 地図とページと製品添付のアプレットをサーバーの同じディレクトリに置く
- そのディレクトリにftpでデータを送り込むようにNextStormを設定する。
- たったこれだけで、こんなサイトが作れます。
- サイトを作ったら、AstroGenic社にユーザ登録しましょう。登録の時に自分のサイトを書く所があります。別に空欄でも良いのですが。
- ユーザ登録するとメールが来て最新版をダウンロードできるようになります。
- java アプレットも早速バージョンが上がっていました。さっそく私のページも更新しました。
[動作テスト] 4/27
- 動作を始めたら、方位と距離の確認をしましょう。このためには実際の雷雲の発生が必要です。
- 観測開始1日目、4/26-27に幸運にも雷雲が発生したようです。
- 以下、30分毎に記録した静止画を並べてみます。
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23:44分の記録です。
紀伊半島南東に雷雲発生です。
マイナスマークは静止画キャプチャ時刻の1分間に発生した-CGです。
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30分後の0:14分の記録です。
落雷の中心は伊勢湾沖に移動。
お、正極性の落雷も検出されています。
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0:44分の記録です。
最も活発になりました。
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1:14分の記録です。
伊勢湾沖の落雷は一段落のようです。
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1:44分の記録です。
再び紀伊半島南東での活動が活発になりました。
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- よく集中して移動している様子から、これらはノイズではなく、天候からしても本物の雷の記録に間違いないと思います。
- しかし、実は、発生位置は定かではありません。方位と距離はまだ検証も校正もされていません。
- なんと、この夜の中部電力の記録にはこれらの雷の記録がありません。
- 逆に中部電力の記録には琵琶湖の東付近に弱雷群の記録があります。それらはどこに行ってしまったのでしょう。
- この事実をどう解釈したら良いのでしょうか。方向が30度程もずれているのでしょうか。それとも両者とも真実で検出能力の問題だけなのでしょうか。
- 試験運転を続けて、データを蓄積するしか方法はありません。
- より詳細に分かる東京電力の検出範囲での落雷発生を待ちたいと思います。
-
- ちなみに、アンテナを屋根裏に上げて以来、隣のパソコンの電源ON/OFFでの誤検出はなくなりました(^^)。
[至近距離雷の問題] 4/28 5/6一部修正
- 4/28日午前10時ごろ、至近距離で雷雲が発生しました。
- StormTrackerが頻繁に検出音を鳴らし始め、雷雲の存在に気がつきました。
- 東京電力の雷情報で確認したところ、東京の八王子付近と栃木の日光周辺で局所的なセルが発生したようです。
- ところが、NextStorm V1.03では以下のような表示になりました。
- これは明らかにおかしく、南西の2つの帯状の発生地点はすべて数10km以内の雷のゴーストと思われます。
- 原因は不明ですが、至近距離の雷が2つのレンジにゴーストとして現れているように見えます。電離層での反射を利用して計測していならば、至近距離では反射の回数の検出誤りが発生して、このような現象が発生する可能性はあると思われます。
- この問題は説明書や、AG社のBBSにも書いてあり、AG社ではこれを改良したV1.10RC1という最新テスト版を公開しています。
- で、早速、NextStorm V1.1RC1を導入してみました。すると至近距離にも落雷地点が表示されるようになりました。
- しかし、遠方にもまだ若干検出されます。それがゴーストなのか、本当にあったものなかはよく判りません。観測を継続するしかありません。
- なお、V1.1では TRACSetting の Ignore uncorrelated strikes がデフォルトでONになっていて、最初何も表示されなくなって、アセりました。
-
- 運よく至近雷が発生し、良い経験になりました。実は、この至近雷、カラー撮影に成功しました。StormTrackerのお陰です。
[設定] 5/3,,5/4追記
- NexStormには検出に関わる幾つかのパラメータがあります。
- 数日間運用した感触ではこれらは簡単に設定できるものではなさそうで、多数の雷で経験を積んでから設定した方がよさそうです。
- で、当面、以下で運用することにしました。
- 方位
- 4/28日の日光の雷では2°程時計回りに修正すると東京電力の情報とよく合いましたが、他の雷については必ずしも同一傾向ではなさそうです。アンテナは一応真北に向けた筈なので、当面 補正無し、つまり0°で運用することにしました。
- 距離
- 距離については、全体の縮尺を決定するパラメータと、方位とレンジ毎に詳細に設定する方法が用意されています。
- 当面すべてデフォルトで様子を見ることにしました。
- スケルチ
- これはノイズによる誤検出が多ければ上げれば良いのです。
- NexStromのホームページには多数のヨーロッパのリアルタイムサイトが紹介さています(工夫した地図を使っている所が沢山あって綺麗です)。これらを見ると、スケルチの値は、0〜4程度で使用している人が多いようです。
- 0での運用では家の中の電気製品のON/OFFを拾うことがありました。でも、感度低下は淋しいので0〜3で色々試してみようと思います。
- ノイズ感度(noise sensitivity)
- 検出したものをノイズと判定するか雷と判定するかの閾値だと思うのですが、これも当面デフォルトにしました。
- しかし、noiseと判定されるのは雷多発時間帯に集中しています。ということは、noiseでなく雷である可能性も高いです。
- noiseと判定されると距離も方位も判らないので、defalutでなくlowに下げてみています。
[[NexStromユーティティ] 5/3,5/4.,5/6追記
- NexStormのCDにはデータ解析のための2つのユーティリティが入っています。
- [nexutil.exe]
- NexStormのバイナリーデータファイル *.nex をテキストファイルに変換するユーティリティ
- コマントプロンプト(Dos窓)から起動するプログラムで起動が面倒ですし、リアルタイム性がありません。
- [nexipc.exe]
- Srcディレクトリにあるプロセス間通信のサンプルプログラムです。
- リアルタイムで、検出結果をテキストで表示することができます。極性は表示されません。
- しかし、これらのプログラムには決定的な問題点があります。それは、雷の時刻が午前0時0分からの経過秒数表示なのです。これでは光学観測との突合せが大変面倒です。
- 開発元に要望を出そうかなどと思ったのですが.....プロセス間通信仕様が公開されているので、これは作った方が早いと思い、作ってしまいました。
- [NSList V1.0]
- サンプルプログラムのソースコードが付属していたので、1時間ほどで出来てしまいました。
- 取り敢えず、必要な情報の表示とログ機能を持たせました。以下です。
- NexStormの脇で動かしておくと、雷が発生する度に、時、分、秒、方位、距離、種別をリスト表示してくれます。
- 表示は最新の情報がリストの先頭に表示され、最大500行で古いものから消えていきます。
- Include NoiseチェックボックスをONにしておくと、ノイズも時刻のみ表示されます。
- Log CSV fileチェックボックスをONにしておくと、起動ディレクトリにyyyymmdd.csvという名称でログを作成します。
- NexStormからはメモリ上のリアルタイムプロセス間通信によって情報を得ているため、起動ディレクトリはどこでも構いません。
- フリーソフトです。マニュアルはありません。
- ダウンロードはLightning and Sprite by UFOCaptureのページからどうぞ。
-
- 使用時にはNextStormのOption メニューのFlashGateIPCをenableに設定して下さい。
- 正常にプロセス間通信できている場合には、Last heart beat が約3分おきに更新されます。
-
- 5/4 24時間運転する場合には日付も表示した方が便利です。日付を加えて V1.1にしました。
- このソフトはNexStormつまり、StormTrackerを導入していないと意味がないものですが、ユーザが増えることを願っています。
-
- 5/6 ネットで公開した所、早速アメリカの方から、距離の表示がマイルにならないか? との意見を頂いてしまいました。
- あまりの反応の速さにちょっと驚きましたが、マイル(statue mile)も選択できるように変更して V1.2 にしました。
- 単位切り替え時にはリストはクリアされます。またmile時はログファイル名がLyyyymmddM.csvになります。
- NexStormの選択肢には statue mile の他に nautical mile (いわゆる海里)もあるのがちょっと心配です。世界は広いですね。
- 連続運転でいつの間にかheart beatが止まってしまうことがあるようです。日に1度程度再起動することをお薦めします。
[2地点観測比較(未校正状態)] 5/12
- 掲示版でお馴染み、東京杉並のITOさんが、私と同一のシステムを導入され、2地点観測体制になりました。->ITOさんのトップページ
- 2地点観測になったことは偉大なことで、観測結果の比較検証ができます。さっそく、しめし合わせてデータを採ることにしました。
- 幸い5/10、低気圧通過に伴い各地で雷が発生しました。この雷雲は11日午前中まで続きました。
- 後に判明したことですが、当日ITOさんの所ではアンテナ周辺にアルミの梯子が立て掛けてあり、ゴーストを発生していたそうです。
- 21時過ぎに梯子を取り除いたらゴーストが減ったとのことでした。これも貴重な情報です。そういわれて見れば、私の所にも数m離れた所には金属が無いわけではありません。ややゴーストが多いような気もしており、今後の検討課題ですね。
- 本来なら観測を後日やり直す所ですが、折角の雷雲なので、とりあえず比較してみることにしました。今後の比較材料にしたいと思います。
- それにしても、ITOさんの雷に対する情熱には頭が下がります。ITOさんがいなかったらきっとこのページも無かったことでしょう。
-
- まず、生データを置いておきます。以下2004年5月10日 0時から11日15時まで観測結果です。
- 両者ともにスケルチ0,ノイズ感度Lowのほぼ最高感度の設定で、補正無し状態です。
- 尚、ITOさんが10日21頃、アンテナの環境を改善されているので、21時以前と以降で別に分析する必要があるかもしれません。
- また固定的な時刻誤差が3秒程度あります。ITOさんのパソコンの時刻が3秒程進んでいたものと思われます。
- 以下、私なりに分析してみました。
- [検出数]
|
種別
|
ITOさん |
SonotaCo |
| 雷 |
+CG |
526 (32%) |
434 (31%) |
| +IC |
98 (6%) |
74 (5%) |
| -CG |
867 (52%) |
783 (56%) |
| -IC |
167 (10%) |
107 (8%) |
| 雷総数 |
1658 |
1398 |
| Noise |
13 |
139 |
| 総検出数 |
1671 |
1537 |
- [検出時刻の一致度]
- ITOさんのデータの時刻が3秒進んでいたとして、これを一律に補正し、両者の検出時刻を比較しました。
| 時刻一致(誤差1秒以内) |
種別極性の完全一致 |
CG/IC |
1967 (61%)
|
1967
|
2869(89%)
|
| Noise |
0
|
| 種別極性の不一致 |
CG/ICの不一致 |
336 (10%)
|
902
|
| 極性の不一致 |
444 (14%)
|
| どちらかがNoise |
122 (4%)
|
| 時刻不一致 |
ITOさんのみ検出 |
CG/IC |
198 (6%)
|
206
|
339(11%)
|
| Noise |
8 (0%)
|
| SonotaCoのみ検出 |
CG/IC |
111 (3%)
|
133
|
| Noise |
22 (1%)
|
| 総数 |
3208
|
- 9割は時刻が秒まで一致し、6割は極性種別を含めて完全に一致しています。
- 同時多発イベントは機械的な照合が難しく、手動照合するか、これを除くと完全一致率が向上すると思います。
- [同時刻平均イベント数]
- StormTrackerでは同じ時刻(1秒以内)に複数のイベント(多い時には10個程度)を記録することがあります。
- 実際の雷でも雲放電と落雷は入り交ざるように発生するケースが多々あります。
- しかしながら、表示状況を見ていると、ゴーストによって遠く離れた位置に表示されることもままあり、ゴーストが原因で複数にカウントされいてる可能性も否定できません。今後のゴースト改良の目安になるかもしれないので、数を数えてみることにしました。
- 両者の記録から、1秒以内のイベントの発生数の平均をとってみました。結果は以下です。
- [方位と距離の一致度]
- 両者で時刻と種別が一致したCG/IC 1967個について、距離と方位の誤差を調べてみました。
- 同時多発イベントで完全一致するイベントが複数ある時は機械的に時刻の早いものを選択しました。
- 以下私のデータに対するITOさんのデータの分布図です。
-
- 方位は+13度を中心に±10度程に分布しています。
- 距離は0から-20%に集まってはいるものの、全体として誤差が大きいです。
-
- 平均値は以下です。
- 距離誤差 -7.7%(ITOさんの距離が私の距離より7.7%短い)
- 電力会社比較でも私が長めに出ているので、ほぼSonotaCo側の原因だと思います。
- 方位誤差 +12.8度 (ITOさんの方位が私の方位に比べて時計回りに12.8度大きい)
- 電力会社比較でもITOさんの方位は10度程時計回りに進んでいるように見えました。
-
- [所感]
- 検出感度/時刻精度
- 検出感度の良さと2地点での観測時刻が極めてよく一致していることは正直驚きました。
- スケルチ0設定では電力会社の情報に比べて圧倒的に多くの雷を検出しています。
- 雲の様子などから、これはの殆どは微弱ながら本物の雷による可能性が高いと思います。
- ノイズと見なされたイベントも発生時刻の状況から、雷が原因である可能性が高いです。
- つまり本物のノイズによる誤動作は殆ど気にしなくて良いレベルだと思います。
- 一方で、少数ですが、小規模な雷雲では電力会社は検出しているが、StormTrackerでは検出できないケースも存在します。これらは2地点に共通している所から、観測方式の違いによるものと思われます。
- 方位精度
- 方位の精度も十分だと思います。
- アンテナアラインメント未調整の段階なので、固定的な誤差がありますが、これを修正すれば±10度以内に殆ど入ると思います。
- もともと雷は空間的な広がりがあるので、この程度の誤差は機器構成を考えれば上等な部類だと思います。
- 距離精度
- これは正直期待を下回りました。雷雲毎によく集中する場合もあるのですが、距離が近いと極めて大きな誤差を連発します。
- スケルチ設定に問題があるのかもしれません。近距離の場合強い電磁波が大きなゴーストとなって、これを検出する可能性が高いと思います。距離についてはまだ精度を語れる段階にないような気がします。
- 種別精度
- 種別と極性の精度は良からず悪からずといった所です。時刻が一致した場合、種別と極性両方が的中する確率は66%です。
- 極性はもっと精度が高いかと思っていましたが、ゴーストが影響しているようです。
- 色々書きましたが、要するにスプライト観測のために雷雲の発生とその方位を知るという目的には現状でも十分過ぎる性能だと思います。
- この観測当日、観測情報のお陰で千葉県沖の雷雲の発生をいち早く知ることができ、日本で初めてと思われる5月のスプライトのビデオキャプチャに成功しました。電磁波による検出音と殆ど同時にUFOCaptureでの録画が始まっているというシーンが繰り返され、感動しました。
[2004/5/26 リニューアル]
- これまでの経験で、アンテナの条件で相当検出結果が違うということが分かってきました。
- ITOさんの「カミナリ2号」が頑張ってらっしゃるので、私の所もついに屋外アンテナ化を計りました。
- 我が家の場合、適当な場所が少なく、軒の縁、破風に固定するしかありません。強度が心配なので、アンテナは極力軽量化を計りました。
- アンテナモジュールが熱で液漏れ(?)するとの話しがあり、密閉避けることにし、20mm塩ビパイプの先に固定する方法としました。以下です。
- なんともお恥かしい姿ですが、こんな感じです。両面テープとナイロンバンドが活躍しています。見えませんが、上部内側でパイプとナイロンバンドで固定されており、落下の心配は皆無です。
- アンテナ上部はカラス避けです。付近のカラスはアンテナなどの上に止まって揺すります。近所では多数のアンテナがカラスに破壊されています。
- 併せて、NexStorm V1.2b, StomVue V1.52がリリースされたので更新しました。
- さて、どう変化するでしょうか。次の雷雲が楽しみです。
[2004/6/28]
- 梅雨の最中、北の寒気が日本上空に入り、大気が不安定になりました。各地で雷雲が発生し、北関東栃木から福島にかけて、強い雷雲が発生しました。NexStorm は V1.2RC1に進歩しており、このセルの活動がかなり正確に観測できました。以下最盛期を少し過ぎた時点のStormVue画面です。この雷雲では検出位置がよく集中して方位も距離もかなり正確でした。まだ明るかったため、スプライト観測は出来なかったのが残念です。
[関連URLメモ]
タイムシフト動体監視ソフトUFOCapture : UFOCapture
UFOCaptureによる2003-4年冬季スプライト観測の様子 : Sprites By UFOCapture
米国 Boltek社: Boltek Lightninig Detectors
NexSTorm開発元: AstroGenic Systems
検出原理参考文献: 1地点での空雷観測による落雷位置検出(PDF)
気象機器販売店(米国): Ambientweather
気象機器販売店(日本): Mistral Instruments
地図ソフト:From FLand